ケーブルカーの仕組み

ケーブルカーの仕組み

ケーブルカーとは…

急勾配の線路を上り下りするため、接続したロープで車両を引き上げる「つるべ式」の線路です。車両に乗務しているのは「車掌」。運転手は、山上のケーブル延暦寺駅で運転操作を行います。車両は、横から見ると平行四辺形。車内もプラットホームも階段状です。

運転室

ケーブル延暦寺駅で運転します。
  • ケーブル延暦寺駅の運転室 ケーブル延暦寺駅の運転室

ケーブルカーに乗務しているのは車掌。運転を行っている運転手は、山上のケーブル延暦寺駅にいます。運転には訓練と熟練が必要。その時々の天気、お客さまの数など、細心の注意を払いながら、安全・快適をサポートしています。

巻上室

ケーブルカーの心臓部。
  • ケーブルに動力を伝える原動滑車 ケーブルに動力を伝える原動滑車
  • ケーブルカーの心臓部、モーター ケーブルカーの心臓部、モーター

運転室が頭脳だとしたら、ケーブルカーの心臓部にあたる巻上機も、ケーブル延暦寺駅に設置されています。モーターが回転すると、原動滑車に動力が伝わり、直径38mmのロープを巻き上げます。ロープがすべらないよう、2台の滑車に3回に渡って8の字形にロープが巻き付けられています。

なお、モーターは1993(平成5)年、三代目車両「縁」号・「福」号の導入時に現在のものに交換されましたが、普通の鉄道でも一般的に普及したパワフル・省エネ・メンテナンスフリーの三拍子が揃った「インバーター制御方式」を用いて、信頼性と乗り心地の向上を図っています。

誘導滑車

488のガイドウェイ。
  • 直線用滑車は地面に対して垂直 直線用滑車は地面に対して垂直
  • 曲線用滑車は斜めに取付 曲線用滑車は斜めに取付

ケーブルカーの車両は線路に乗っていますが、文字通りその「命綱」であるケーブルも線路に沿って巻き上げ・巻き下ろしをしないといけません。

このロープを支え、正しい方向に導くのが線路上に設置された「誘導滑車」の仕事です。この誘導滑車は、直線用と曲線用に大きく分かれます。 一般にケーブルカーは直線的に山麓と山上を結ぶことが多いようですが、坂本ケーブルは距離が長く曲線が多いため、直線用滑車287カ所に対し曲線用滑車は201カ所に設置しています。合計488個の滑車が坂本ケーブルの安全を支えています。

車掌室

乗務しているのは車掌です。
  • 安全確認用の車掌室 安全確認用の車掌室

ケーブルカーの車両には動力が組み込まれておらず、電車と較べると「箱」のようなもの、もしくはエレベーターのかごのようなものだと思われることでしょう。

それでも、ケーブルカーには車掌が乗務しています。特に変化しやすい山の天気にあって、どんな自然が待ち受けているか分かりません。したがって車掌はつねに車内で安全確認を行い、安全と快適に気を配っています。


また、坂本ケーブルには、軽妙なアナウンスで人気を集めている車掌もいます。
安全はもちろんですが、お客さまの思い出づくりにも車掌や駅員が貢献しています。

ターンアウトの秘密

どうして正面衝突しないの?
  • 縁号の車輪 左が溝車輪、右が平車輪 縁号の車輪 左が溝車輪、右が平車輪
  • 福号の車輪 左が平車輪、右が溝車輪。 福号の車輪 左が平車輪、右が溝車輪
  • 片方づつ平車輪、溝車輪があります 片方づつ平車輪、溝車輪があります

ケーブルカーは上り下りを共有する単線です。したがって、中間地点にすれ違い部分があり、これを「ターンアウト」と呼びます。 一般の鉄道では、ポイント(分機器)を用いて擦れ違いを行いますが、山の中を走るケーブルカーには保守が大変なポイントはありません。また、2列車以上が運転されることもありませんから、もっとシンプルで信頼性の高いシステムが用いられています。その秘密はケーブルカーの「車輪」にあります。

普通の鉄道では、線路の内側だけに淵がつき、線路に沿って走るようにしてありますが、ケーブルカーは片側の車輪(溝車輪)がH字状に一方のレールを挟み込み、もう一方の車輪(平車輪)は厚みを確保しながら線路の上に「乗っている」だけです。ちょうど自動車のタイヤが線路の上に乗っているようなイメージです。

この結果、ターンアウトにおいて2台の車両は、常に同じ側に進行し、車両どうしが正面衝突しないように設計されています。

非常用ブレーキ

二重三重に安全を守る。
  • 万全の安全を守る非常ブレーキ 万全の安全を守る非常ブレーキ

駅などでは通常、ロープの動きを止めることでケーブルカーの車両も停車します。ところが、厳しい自然条件の中を走っている坂本ケーブルでは、動物の飛び出しや突然の倒木など、ゆっくり走っているケーブルカーでも衝突を回避しなくてはならないケースがないとは限りません。そのために、2系統の非常ブレーキ装置が搭載されています。それが「手ブレーキ」と「自動ブレーキ」です。

 

手ブレーキは、車掌がハンドルを回してかけるものです。これに対して自動ブレーキは、

* 車掌がペダルを踏んでブレーキをかけたとき
* ロープが切れたとき

にかかり、床下のツメで線路をロックして車両を停止させます。自動ブレーキがかかった場合、連動して巻き上げ機のブレーキも同時にかかるようになっています。 なお、ロープは満員時の車両の重さに対して11.1倍の強度をもつだけでなく、定期的に交換を行って安全を確保しています。